2013年6月26日水曜日

『What I Wish I Knew When I Was 20』

Tina Seelig

宝くじで高額当選した人が、そのコツを語る番組があった。
いくつかの実用的なコツとともに、過去の当選者が口を揃えて言ったのが、
販売員が笑顔であることだった。

そもそも宝くじの当選確率はどのくらいなのだろうか。
宝くじの規模によって異なるが、一説に1等は1000万分の1とも言われている。
1枚300円のくじを買うリスク。

ただし裏を返せば、リスクを冒さなければ、確率は0である。
宝くじはどうかわからないが、
ことによってはリスクをとらないことが、一番のリスクとなる場合もあるだろう。

カリフォルニアでは、リスクを冒して自らの可能性に挑戦し続けるマインドが根付いている。その環境を求めて、多くの人間が世界中から技術や能力を持ちよる。
失敗を恐れず、とにかく動く、そんなエネルギッシュな場所で、活動的な学生が集結し、
起業学を学ぶクラスがあるという。

スタンフォード大学のティナシーリグ教授の起業論はNHKでも放送された話題の授業だ。
生徒がビジネスの場で必要なスキルをロールプレイングなどを通して学び、最終的には起業体験をする。
授業の一部では、地の利を生かして実際の起業家が授業に招き、ディスカッションも行うという魅力的なプログラムだ。

起業家になりたい人に起業について教える。そんな教授は客観的にみれば、間違いなく成功者だろう。
ただし彼女は医学部卒で脳に関する研究をしていたのだ。(今もしているはず)
多才の一言に尽きる。

そんな教授がこの本を通して、学生に向けて、いくつかのアドバイスをしている。
リスクを取ること、失敗を恐れないこと、そして常にワクワクしていること。

リスク、失敗、期待、あれ宝くじだ。
といった発想力のない平凡な私に大きいことはできないので、
せめて動き回るところだけは真似して、
とりあえず宝くじでも買いに行こうと思う。




2013年6月15日土曜日

『ソーシャルメディアマーケティング』

ジムスターン
酒井泰介

近年需要の高まるソーシャルメディアマーケティングの第一人者、ジムスターンの本。

戦略•戦術のたて方、そしてそれらの効果測定について書かれている。

日本でもようやくここ数年で、SNSやブログなどを積極活用したマーケティング戦略が取られるようになった。欧米に比べて4〜5年ほど遅いのではないかと感じさせる。ようやくマスメディアも、ソーシャルメディアが盛り上がっているという特集番組を放送するようになった。
中でも顕著なのは、SNSなどを批判するために、若者を引き合いに出し、これまで我々が築いてきた生活とは違う化け物のようだというメッセージを盛んに発信していることだ。

話が少しずれたが、今後はマスメディアとソーシャルメディアが協同していくべきである。それはニュースに限らず、マーケティング戦略に関してもそうだ。

ソーシャルメディアは、市民に「参加」という大きな要素を与えた。
商品やサービスを買うのは消費者であり、消費者の声をいかに集め、いかにその声に答えていくかが重視される時代において、ソーシャルメディアは今後も大きな役割を担うだろう。

ジムスターンが言うように、ソーシャルメディアで情報を発信すればオッケーというのは違う。その効果測定を行い、次につなげていくことが最も重要である。

現在のほとんどの日本企業は、情報を発信してそれで終わり、というマーケティングが多いように感じる。
これは顧客第一と表面上だけで言っている現れなのでは、と疑ってしまう。


『マーケティングと消費者』

朝岡敏行

マーケティングを浅く、幅広く網羅した入門書。
伝統的なマーケティング論といえそうな内容の構成だった。


『マイクロマーケティング入門』

鈴木豊

グローバル化が進展する現代だが、次第にローカルな面が重要視されている傾向にある。
これは主に政治学の世界で言われていることだ。

国境を越えた取引や活動を通して、それぞれの結びつきが強くなった一方で、文化や価値観、あるいは経済格差など、様々な問題が生じている。
人々は自分のコミュニティーをより重視するようになり、極端な例を挙げれば、フランスの極右政党の対等なんかもその一つではないだろうか。

そんななか商業はどうなのか。
依然として大規模で価格の安い大手ショッピングセンターなどの進出により、中小の個人商店は危機を迎えている。
もちろん大規模な企業が同じ地域に参入してきたことで、価格や品揃えの面など個人商店では絶対に勝てない要素がある。

アメリカで勢力を拡大するウォルマートは一部で大きな批判を受けている。それまであったローカル経済を破壊し進出するそのスタイルは、まさに帝国主義時代の諸列強国のようであると。

しかしながら、そういった大規模のチェーン店でも、かなり綿密なマーケティング戦略が取られているところもある。
特にその地域で生活する人々が何を求めているのかをしっかり把握し、売り場のレイアウトや品物のディスプレイ方法などを細かく変更している所もある。

店舗ごとに特色がある、というのは面白い。その地域ではどのようなニーズとウォンツがあるのかが他店と比較して明らかになるからだ。

おそらくは小売業に従事する人に向けて書かれた本であるが、消費者目線で読んでも面白く、今後の何気ない買い物に少し花を添えることになるだろう。

2013年6月8日土曜日

『売れる色の理由』

芳原信

色が人間に与える影響には以前から興味があったので、手に取ってみた一冊。
今後のマーケティングや日々の生活に生かしたいと思える内容だった。

具体的な商品を上げ、色による効果を語っている。また、同じ市場で競合する会社同士の色の戦略も面白い。

シャンプーを例に挙げると、花王、ユニリーバ、P&Gといった会社ごとに商品のカラーは異なる。例えば、ユニリーバのラックスは白に金色の文字と、高級感を全面に表現していうる。高級感を表現することが、海外ブランド製品に共通する戦略である。
一方のアジエンスは東洋的な美を表現するために、金色あるいは銀色のボトルを採用している。
また、資生堂が発売したTSUBAKIは大ヒット商品となったが、これも東洋的な美を表現したものといっていいだろう。

またこういった色のイメージに合わせた宣伝や広告の戦略が組まれることが一般的である。

ほかにも看板の色が与える影響など、実例を交えて解説している。

ビジネスパーソンだけでなく、主婦や学生が読んでも日々の生活の中で、商品に対する見方が変わるであろう一冊だ。


2013年6月6日木曜日

『世界を虜にする企業』

『世界を虜にする企業』
ZARAのマーケティング&ブランド戦略

ヘスス・ベガ

スペインのファッションブランドZARAのマーケティングやブランド戦略について書かれた本。
著者はGoogleやスターバックス、あるいはZARAのようなセクシーカンパニーこそが今後の世界を牽引してくと熱弁する。
セクシーカンパニーとは、私なりに解釈すれば、コストや品質はもちろんのことだが、客の感情に訴えかけて、自社のサービスに共感してもらうことで商品を買ってもらうようなことに成功している企業である。
まさに昨今のアップルはその例とも言えるだろう。
アップルの商品が好きだから買う、という顧客が多いのは確かだ。

しかし著者は、成功した企業が陥るリスクは、成功そのものにあると忠告する。
これは以前紹介したシャネルの考え方と一致する点があり、変化し続けられないものは生き残らないということなのだと解釈した。

ZARAの場合の”変化”とは、常に新しい欲望を持ち続けることである。
イメージを磨いて、インテリジェンスを手に入れ、そしてパーソナリティを創り上げる。このようなブランド戦略を行い、なおかつ新たな欲望を追い求め続ける。

確かに世界にインパクトを与え、有名になっている人こそ、一つの成功で満足していないなと感じる。 既に一生を遊んで暮らせるくらいの額の金額を稼いでいる人が更に投資を続けたりする。

今後世界で通用していくためには、常に新しい目標を見つけ、それらを実現することができる能力に加え、自分ではなく相手がどのようなものやことを欲しているのかを理解することが重要なことであると感じた。
これは個人と企業の両方に共通することである。



『伝え方が9割』

『伝え方が9割』
佐々木圭一

言葉はつくることができる。
言葉一つで相手の感じ方は異なり、物事の結果も変わってくる。

世の中に出回っている有名な宣伝文言も、一部分を変更しただけでインパクトが減ってしまう。
また長文も、文章の内容よりも、形式などによって読むか読まないかを左右するだろう。
おそらくこのブログ自体もそうだ。

他にも人を誘う場合のコツなど、具体例があって理解しやすい内容だった。



2013年6月3日月曜日

『リッツカールトンが大切にするサービスを超える瞬間』

著者 高野 登
出版社 かんき出版

バイト先の先輩に勧められて読んだ1冊です。

みなさんはホスピタリティという言葉の意味をご存知だろうか?親切心、思いやり、心からのおもてなしという意味です。これを持つことでリッツカールトンの社員はサービスを超える行動がとれるのだそうです。この本の中で紹介されていた出来事を1つ載せておきます(このような話をリッツカールトンではワオ・ストーリーというそうです)。
砂浜でビーチチェアを片付けていた係が男性に声をかけられました。その男性は今日ビーチでプロポーズをするからビーチチェアを一つ残しておいてほしいとのことでした。普通なら言われたことだけしますが、その係はテーブルも用意しさらにそこにテーブルクロスを敷き、お花とシャンパンを飾りました。またプロポーズの際に男性の膝が砂で汚れないように、椅子の前にタオルを畳んで敷いて、自分も正装に着替えてカップルを待っていたというエピソードです。

リッツカールトンではこのようにお客が言葉にしない願望やニーズまでそれを先読みしてそれに応える事を使命にしているというのです。これによって感動が生まれるのだと。

誰が読んでも、普段からの気遣いや心遣いに気をつけてみようと思える1冊であると思います。


2013年6月1日土曜日

『シャネルの戦略』

『シャネルの戦略』
長沢伸也

世界で最も有名なブランドの一つ、シャネルの経営戦略について検証した一冊。
ラグジュアリーブランドのマーケティングの参考になるのはもちろん、どの企業や団体に対しても参考になる内容である。

ルイヴィトンなどと比べて、シャネルは異色の存在だ。
ココ・シャネルという、いわば起業家が一から作り上げ、彼女の死後もブランドの地位を維持し続けている。

重要なのは、伝統を尊重しつつ、革新をしていくこと。
他には代替できないような技術を存分に活用し、商品を作ること。
以上の2つに凝縮される。

いわゆる絶対的なリーダーが引っ張ってきた企業は、そのリーダーがいなくなると、突然うまくいかなくなる場合が多い。
まさに現代のアップルはそうなのではないか。
確かに売り上げといった「結果」だけに目を向けると、依然として突出した結果を残しているアップルだが、以前のような革新性に欠けるように感じる。
革新を追い求めるには自身を適切に理解し、加えて世の中の変化に敏感でなければならない。
その点でシャネルは非常に柔軟な商品戦略をとっている。

著者が言うように、シャネルは、ファッションを消えゆくものとし、消えることのないスタイルを追求した。だからこそ現代でもそのブランドを維持できている。

伝統は継承しつつ、新しいことは大胆に。
そして徹底的な技術経営。
シャネルが世界のトップブランドの一つとして存在する理由が少し理解できた気がした。